携帯電話向けゲームのプラットフォームを大手数社が共同開発

/.J 経由で知った報道によると、MicrosoftNokia を中心とする数社が、携帯電話向けの共通プラットフォーム開発を共同で行うという。
PC World に掲載された元記事によると、対象は LinuxSymbianWindows Mobile を載せた携帯電話。今まではそれぞれ別個に開発しなければならなかったが、今回の共通プラットフォームを使えば OS 間の移植がやりやすくなり、開発費を抑えられる……というのが目標らしい。
今回参加を表明している中には、OS メーカー、端末メーカー、ゲームベンダーが一通り入っているので、2006 年後半に予定されている参照実装が出せれば、2007 年にはこのプラットフォームを使ったゲームが出てくると思われる。
逆に参加していない企業を探すと、まず Sun、DoCoMoVodafone といった Java ME まわり。そして、QualcommKDDI といった BREW まわり。つまり、今回の協業はこれら 2 グループに対向するために第 3 勢力を結成した、ということだ。
Java ME は VM 上のプログラムオンリー、BREW はハードもソフトもワンセットにした独自アーキテクチャという、いずれも組込み機器ならではの特殊な構成だったわけだけど、今回は「OS 間での移植性を高める」という姿勢なので、おそらくはずっと PC 寄りな、「共通 API を用意するのでそれを使って開発してね」といったかたちになるものと思われる。PC 向けの技術で言えば SDL みたいな位置づけになるんじゃないだろうか。
これで三つ巴っぽい構図になったので、もしかすると今後数年で携帯電話のゲーム機能が、また競争期に入るかもしれない。携帯電話に必要な機能じゃないような気はするが、現状で目玉のひとつになっている上、ゲーム業界の側が必死になってきているので、キャリアの側も「うちはもうこれ以上ゲーム関連の機能は入れません」とは言いづらそうだし。

Java ME グループはどうする?

Sun は 11 月の時点で、Java ME の次期仕様について発表をすませている。発表と言っても内容ははっきりしていないけれど、携帯電話向けについて CLDC から CDC への移行が表明されており、よりヘビーウェイトな方向性を目指していることはわかっている。

ITmedia - DoJaを超えるJava仕様を提供する──ドコモとサンの「スタープロジェクト」
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/mobile/articles/0511/10/news076.html
ITmedia - アプリックスも参加 ドコモの「スタープロジェクト」とは?
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/mobile/articles/0511/30/news116.html
[東京発] Naoki Ishihara's Blog
Crying over spilt java milk (chats) - Star Project (NTT DoCoMo-Sun Alliance):http://blogs.sun.com/roller/page/chats?entry=star_project_ntt_docomo_sun1

ひとつ大きいのが、仕様策定に今度こそ DoCoMo が本気で参加する、ということだ。現在の携帯電話向け Java 仕様は、CLDC+MIDP(+キャリア固有API)と、CLDC+DoJa という 2 種類に分かれている。MIDP の仕様策定には DoCoMo も関わっていたけど、503i のサービスインには間に合わないので、独自に DoJa プロファイルを作った、という話だったと思う。
その後、DoJa は独自路線で拡張を繰り返し、MIDP を採用した Vodafone らはその後をキャリア固有 API というかたちで追いかける、という状態だったのが、* Project で一旦合流することになる。
現時点では * Project がどういうバランスでやっていくのかははっきりしていないけれど、今回の MicrosoftNokia の発表を受けて、ゲーム関連の機能が無視できなくなったのは確かだろう。

BREW グループはどうする?

Qualcomm の動向については全然知らないのでパス。

WILLCOM はどうする?

ちょっと番外。Java 対応 PHS を出した WILLCOM だけど、今後どうするのかはよくわからない。
WX310SA/WX310J では CLDC+MIDP だけれども、キャリア独自の API というのはないらしい。つまり、MIDP がサポートしている以上の「ゲーム作るのにあると便利な API」は、WILLCOM 端末には載せていない。
ビジネス向けやヘビーモバイルユーザをターゲットとしている WILLCOM がゲームに注力しないというのは、ある意味で当たり前。さらにいえば、必要とする人がいるから載せているだけで、必須の機能とは考えていない (実際、WX310K や WX300 シリーズには Java が載っていない)。言ってみれば、ボイスレコーダとかフルブラウザとか、そういうものと同じように考えられているのだろう。ビジネス向けアプリに必ずしも必要ないということであれば、DoCoMo が次世代 CDC に移ったあとも、WILLCOM は CLDC を使い続けたりするかもしれない。