特に個人でドメインを取得するときに、重要なことをひとつだけ挙げろと言われたら、僕ならこう答える。
「whois に気を付けろ」
whois とは
ドメインを取得する際、レジストラ (ドメインを管理している業者) や代理店に対して申請した自分の名前や住所、電話番号は、whois データベースにも登録される。これは誰でも自由に閲覧できるようになっていて、例えばトラブルが発生した時にドメインの持ち主の連絡先を調べるのに使われる。
whois データベースは、Mac OS X や Linux などの OS に付属する whois コマンドか、whois 検索を行ってくれる Web サイトでかんたんに検索することができる。ドメイン取得時に何もしなければ、個人情報が全世界に対して「どうぞご利用ください」状態になるわけだ。
個人情報非開示のオプションとは
申し込む業者にもよるが、whois データベースへの情報開示をやめてもらうサービスというのがある。大手レジストラのひとつである Network Solutions の場合でいうと、年間 9 ドルの Private Registration サービスを申し込むことで、ドメイン所有者の情報が whois データベースに登録されなくなる。
別に見られても困らない、という考え方もアリではあるが、個人的にはできるだけこの手のオプションを利用した方がいいように思う。
途中からじゃ間にあわない
すでにドメインを所有している場合も、個人情報非開示のオプションを追加で申し込めば、whois データベースが更新されて個人情報が削除される。しかし、それ以前に whois データベースから情報が転記されている場合がある。
例えば、世界中のドメインについて Wiki でまとめている Web サイト AboutUs.org には、whois データベースの情報が転載されることがあるようだ。例として、ニュースサイト "GIGAZINE" のドメイン gigazine.net を見てみる。いま whois データベースで gigazine.net を調べると、ドメイン所有者の所在地は
Owada 4-10-12 None Osaka-shi Nishiyodogawa-ku, OSAKA 555-0032
2 行目の None というのは空欄なので読み飛ばすと、これは、GIGAZINE を運営している株式会社 OSA の所在地になっている。一方で、gigazine.net について書かれたページを AboutUs.org で見ると、"Address" のところに
Funakityou 10-14 Ibarakisi, Osaka 567-0828 JAPAN
と書かれている。ここからは推測になってしまうが、元々 GIGAZINE は個人運営のサイトだったらしいので、その頃に登録した住所が whois データベースから転記されたまま、AboutUs.org に残っているものと考えられる。仮に gigazine.net が今から whois データベース上の情報を非開示にしても、AboutUs.org 上の情報は残り続けてしまう。これと同じことが、あなたがドメインを取得した場合にも起こる。
AboutUs.org は Wiki ベースなので自分で編集して削除することもできるが、その場合も編集履歴には古い情報が消えずに残る。さらに、whois データベースの情報を利用しているサイトは AboutUs.org 以外にも多くあるため、一度情報を開示してしまったら、それらをすべて削除することは事実上不可能だ。
*1:料金の支払いが滞ると開示状態に戻ってしまうので、カードの期限切れにも要注意。