「ゲームグラフィック TV」が楽しすぎる

ゲームグラフィック TV (GGTV) は、動画共有サイトニコニコ動画」で公開されている動画シリーズであり、ゲームの歴史を紹介する "番組" である。
この記事では、そんなゲームグラフィック TV の魅力について見ていこう。


ゲームグラフィック TV。そのタイトルが示すとおり、テレビ番組「カーグラフィック TV (CGTV)」がモチーフとなっている*1。カーグラフィック TV がクルマを扱うの対して、ゲームグラフィック TV が扱うのはコンピュータゲームである。各回の構成は、原則として「アバンタイトル→オープニング→本編→次回予告」という流れになっており、1 回の長さは 5〜10 分程度が多い。
毎回ひとつのテーマについて取り上げ、豊富な資料写真・資料映像を背景に、淡々としたナレーションで、様々なゲーム機の特徴や歴史が紹介される。いわゆるレトロゲームレトロゲーム機について扱うことが多く、8bit、もしくは 16bit のゲーム機に熱中したことのある人なら、当時の記憶を呼び覚ましながら楽しむことができる。
通常は予告通りの内容が次回に "放送" されるが、時折、予告とは異なる特別編が挿入される。タイトルに「カーグラフィック TV スペシャル」とある回がそれである。
パッと見、「完成度が高い」動画ではない。制作者「洗車の入」氏によるナレーションは、やや聞き取りづらく、漢字や英語の読み間違いが頻繁に見られ、その都度視聴者から訂正のコメントが書き込まれたりしている。ゲームグラフィック TV を初めて見る人は、「内容もつまらないのでは」と不安を覚えるかもしれない。
しかし、予断を捨てて視聴してみれば、その第一印象が間違いだったことに気づくだろう。ゲームグラフィック TV では、セガサターンのようなよく知られているものだけでなく、3DOジャガーのようなマイナーハード、さらにはオデッセイ、インテリビジョンといった黎明期のゲーム機までをわかりやすく解説しており、かつて自分が遊んだ経験を思い出したり、今まで知らなかったゲームの歴史に驚いたりして楽しい時間を過ごすことができる。中には「ジャン、ケン、ポン、ズコー」というボイスでおなじみのジャンケンマンや、少年向け漫画雑誌で連載されていたゲーム漫画を扱った回もある。
また、視聴していて感じられるのは、制作者は本当にゲームが好きでこの "番組" を作っている、ということだ。継続して制作を続けていることもそうだし、時々挟まれる辛口コメントや冗談は、ゲームが好きでなければ出てこない類のものだ。そうやって作られたこの "番組" を視聴できるのは、同じくゲームが好きな人間にとって非常に嬉しいことだと思う。
昨年秋の第 1 回からスタートしたゲームグラフィック TV は、2010 年 5 月 24 日公開分で第 100 回を迎えた*2。言い換えれば、それだけの歴史をゲームが歩んできたということでもある。コンピュータゲームの登場当時と今では、ゲームとそれを取り巻く状況は大きく変わったが、逆に今だからこそ、ゲームグラフィック TV がゲーム好きにとって大事な何かを思い出させてくれる、そんな風に思うのは私だけであろうか。

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*1:CGTV 見たことがないんだけど、どうもそうらしい。

*2:スペシャル」を含めると計 111 回分が公開されている。