私はラブ・リーガル

※LINE BLOG に置いていた過去記事 (2017/01/04) を、同サービス終了のため引っ越し。

2016/12/18〜2016/12/31、NETFLIX で視聴。全 6 シーズンのコメディドラマ。

イケメン弁護士を彼氏に持つモデルのデビーが交通事故で亡くなったが、天国の受付で Return キーを押したら地上へのリターンに成功。ただし、元の体ではなく、ちょうどその頃銃で撃たれて亡くなった、イケてない弁護士ジェーンとして復活することに。

天国の受付で彼女の暴走を許してしまった天使のフレッドも、デビー改めジェーンの守護天使として地上にやって来た。ジェーンの正体を知るのは、フレッドの他には、唯一事情を話した親友のステイシーだけ。「他の人には正体を明かすな」とフレッドに忠告されているため、彼氏だったグレイソンや両親にすら自分がデビーだと明かすことができない……。

この番組を元々放送していた Lifetime というテレビ局は、女性をターゲットにした専門局なんだそうで、そう思ってみると日本の少女マンガでもこういうのあるなーみたいなシーンや展開がちょくちょく見られて面白い。と言っても僕は少女マンガをそんなに知らないんだけど。

ジェーンは弁護士であり、毎回何かしらの依頼を受けてから解決するまでが描かれる法廷ドラマとしての側面もある。『BONES』などと同様に、1 話の中で 2 つのストーリーが進む構成 (多重プロットと言うらしい) になっているんだけど、仕組みがシンプルで、だいたい 2 つの事件が並行している。ジェーンが事件 A に取り組んでいる時、事務所の誰か (たいていは同僚でキツめの女性弁護士であるキム) も事件 B を担当していて、1 話終わるまでに 2 つの裁判が行われる。で、これはだいたい各話の中で話が完結してて、それとは別に、シリーズを通しての物語として、恋愛模様が少しずつ進んだり戻ったりする。

意外なことに、最初は単なるイヤな奴扱いだったキム・カズウェル弁護士が、徐々にいい面も描かれたり、背景が掘り下げられたりして、ジェーンに次ぐ第 2 の主人公とも言うべきポジションを獲得していった。本作の王子様役であるグレイソンは、振り返って見るとあまり存在感がなく、話の都合で必要なところに出てくるだけなので、性格や家族があまり描写されず、グレイソンよりもキムの方が重要視されているように感じられた。

他に存在感が大きいのは、先程も書いた親友のステイシーと、守護天使のフレッド。この 2 人は、声優さんの演技が生き生きとしていたこともあって、見ていて楽しい。フレッドは途中で天国に戻ることになり、後任の守護天使が 3 人もいるんだけど、最終シーズンの大事なところでフレッドが再登場していたあたり、アメリカの視聴者にも人気があったんじゃないかな。ちなみに日本語版の声優さんは、K.I.T.T. の声でおなじみで先日の『なりすましアサシン』にも出ていた野島昭生さんの息子さん (のひとり)。

あと、途中で登場したオーウェン判事についても書いておきたい。ジェーンと結婚直前まで行ったり、ステイシーと結婚したりと、恋愛に関わる部分ではグレイソンと同様に舞台装置として動かされてる印象があるんだけど、判事として登場する回はキャラ立ちしていて面白かった。登場直後から頭の回転が速い人として描かれていて、弁護士が喋る前に自分でどんどん話進めちゃったりする。さらに、「本件は故人の遺志により中世の法律に従って判断すべきです。ちなみに当時は決闘で決めてました」と言われて「面白いからそれ採用しましょう」とか言い出して実際に決闘の場所を確保して当時の衣装にコスプレして現れたり、「市から発注されたモニュメントを重要な芸術品として扱うべきかが問題」となったら「じゃあ次回はそのモニュメントが置いてある広場で裁判やります」とか言い出してほんとに青空の下でやっちゃったり。

そういえば、グレイソンはイケメンキャラなんだけど、オーウェンはイケメンとはちょっと違う。変なこと思いついてにやっとしてるところは人懐っこくて女性にモテそうだけど、どちらかと言うと頭のよさとコミュ力が武器。そして、時々登場してはなぜか毎回持ち上げられてるのが、髪の薄い中年の廷吏であるハンク。イケメンでもないし、カートゥーンが好きで毎週母親と鑑賞会やってたり、コミコンでコスプレやってたりと、モテない属性が付きまくってるんだけど、ステイシーが精子提供者を探すときに歴代彼氏に混じってトップ 3 に残ってたり、たまたま強盗から守ったキムに「今まで私は男性に無責任な扱いばかりされてきたけどハンクはそうじゃない」みたいな評価をされたりしている。これは、奥さんと一緒にこのドラマを観ている旦那さんへのメッセージ、というのは穿ち過ぎ?