「Web アプリに出てきてほしくない単語」ワースト 3

個人的に「この単語を Web アプリで使うのはやめてほしい」と思ってるもの。

第 3 位「文字列」

例文: パスワードは、6 文字以上 20 文字以下の文字列で入力してください。

一般にはまったく通じない用語をそのままメッセージに含めてしまっている例。「文字列」なんて単語はふつうに暮らしているかぎりお目にかからないので、もっと自然な日本語にするべき。というか、「6 文字以上 20 文字以下で入力してください」にするだけでも十分通じると思うんだけど、なぜに「文字列」なんて単語を入れてしまうのか。そんなにしゃっちょこばらなくても……。同じ系統で「200 以下の整数値で」みたいなのもある。
さすがにごくまれに見るだけなので、第 3 位。

第 2 位「エラー」「失敗しました」

例文: DB エラーです。注文情報の登録に失敗しました。

これもやはり、ふつうの会話には登場しない言い回し。エラーとか失敗とかっていうのは、技術者やコンピュータを使い慣れている人にはどういうものかよくわかっているはず。つまり、データに何らかの不整合が発生していているとか、リソースが不足しているとか、もしくは通信で相手先に接続できなかったとかタイムアウトが発生したとか、とにかく何らかの理由で処理を進められなかったということだ。けれども、それ以外の人には、エラーもしくは失敗というのがどういう時に起きるかのもわからないし、どう対処していいのかもわからないもの。
「エラーです」「失敗しました」という言い回しは、なんかぎょっとさせるだけで、見た人がどう対処していいのかもわからないし。どういうのが正解なのかが難しいけど、「混雑しているためご注文をお受けできませんでした。大変申し訳ありませんが、しばらく時間をおいて再度お試しください」みたいなのが、方向性としては正しいんじゃないかなぁ……。
割とよく見るけど、少しずつ減っているような気もするので第 2 位。

第 1 位「画面」

例文: 各画面左上のタイトルをクリックすると、サイトのトップ画面に遷移します。

せめて「ページ」だと思うんだよなぁ。
特に大手の、古くからシステム開発をやっているような会社だと、GUI っぽいのは全部「画面」単位で考えようとする傾向が強い。その昔、ホスト (汎用機) と端末をつなげてネットワークを構築していた時代があった。端末は基本的には表示専用のコンピュータで、何か入力してから Enter キーを押すとその内容がホストに送信される。するとホストが何か処理をして、次に表示すべき「画面」の内容をまるごと端末に送り返す、という仕組み。入力内容をどのように処理するか、そしてその次にどのような画面に切り替えるのか (いわゆる画面遷移) というのがシステム設計のメインだった。
どういうわけか、その後 Windows などの GUI 環境が普及しても、彼らは「画面」という単語を使い続けた。ウィンドウでもダイアログでもなんでも「画面」。そして、ブラウザベースの Web アプリケーションを手がけるようになった後も、彼らはやはり「画面」という単語を、もはやなんら疑問を持つこともなく使い続けている。その結果どうなるかというと、例えば、「設計した通りの画面遷移」以外を許さないガチガチなシステムができあがり、途中のページをふつうにブックマークできないなんてことが起きたりする。「REST? 何それおいしいの?」みたいな。
こう言ってもきっと、「単に言い方が違うだけだろ。要件を満たしたシステムをきちんと完成させて納品しているんだが、何か問題でもあるのか」と返ってくるだろう。その頑固さというか、過去に固執して新しいものを素直に捉えられない頭の固さこそ、技術者にとっての最大の敵。という自戒をこめて、第 1 位。